前回の記事では「物件との出会い」から水回りの完成までを紹介しました。
今回は、いよいよみなさんが気になっている“内装ができていくところ”です。
今回も基本はすべて素人大工の一人作業。大きな構造だけは大工さんに入ってもらいながら、細かいところは自分で仕上げていきました。
それでは部屋ごとに、どのように生まれ変わっていったのかを見ていきましょう。
奥の雨漏り部屋 ― 最も劇的に変わった場所
前編でも少し触れた“問題児”の部屋です。
天井も床も腐っていて、本来なら解体してしまいたくなるレベル。実際、天井・壁・床のすべてをやり直しました。

大工さんの力を借りた大改修!
掃き出し窓も含めて取り壊したので、しばらくは“真冬でも風が通り抜ける開放的な部屋”に。
大きな柱や梁の補修は大工さんにお願いし、間柱や断熱材の施工は自分で担当。
当初あった掃き出し窓は撤去し、その分、天井を高くして開放感のある空間にしました。
また、部屋の一部をトイレに続く廊下へと変更。
その結果、ロフトのような小上がり空間が生まれました。子どもたちがよろこびそう。



まさに劇的ビフォーアフター
最終的には石膏ボードで壁を整え、仕上げは業者さんのクロス施工。
雨漏りでボロボロだった空間が、天井の高いモダンな部屋に生まれ変わりました。
どん底からの大逆転。これぞ古民家再生の醍醐味です。
(わたしの人生みたいですね(笑))

居間 ― 梁を活かした大空間
この家の象徴ともいえるのが、この居間。
天井を抜くと、立派な梁が何本も現れました。
降り注ぐ山のようなホコリと格闘しながらも、思い切って開放した結果――大空間のリビングが誕生しました。

区切られた部屋を合体させる
もとは客室と和室が壁で仕切られた狭い空間。玄関も小さく、人が集まるには少し窮屈な造りでした。
壁を壊して一つの部屋にまとめ、さらに天井を取り除くことで、横にも縦にも広がる空間に。
まさかこんなに立派な梁があるとは思っていませんでしたが。
床は部屋ごとに高さが違ったため、木材で下地を調整。湿気対策として防湿シートを敷き詰め、その上に調湿材を入れました。
下地には三六合板を使用。このときは大人数の助っ人が集まってくれたおかげで、一気に作業が進みました。




来た人が圧倒される大空間の誕生
玄関を開けた瞬間に広がる、梁と光の大空間。
光と風が通り抜けるその瞬間、この家がようやく“息を吹き返した”気がしました。

和室1 ― 畳からフローリングへ。家族と仲間で挑んだ一室再生
もともとは純和風の落ち着いた部屋。
個人的にはそのまま残したい気持ちもありましたが、今回はオーナーの意向でフローリング仕様へ。

お仏壇との向き合い方
古民家改修ではよくある話ですが、今回も立派なお仏壇が残っていました。これは避けて通れない問題。
まずお寺に連絡して供養をお願いし、その後は引き取ってもらうか、自分で処分するのが一般的。
今回は、しっかり供養を済ませたうえで、私が自分で処分しました。たぶん罰は当たらんと思います。

防湿シートの設置 ― ワーケーション助っ人と共に
畳を外し、床板を剥がすと土の地面が姿を現します。床下全体に防湿シートを敷き詰め、その上から調湿材を。
九州からワーケーションで訪れてくれた方と一緒に作業。二人だとやっぱり早い!

下地づくり ― 子どもたちと過ごしたモノづくりの時間
長期休みに、高校生の長男とその友達、そして末っ子が参加。
「完成したら泊まりたい!」の声にこちらまでうれしくなりました。モノづくりは、人をつなぐ。

仕上げは檜の羽目板 ― 無垢の木の香りとあたたかさ
節が残る“B品”材でしたが、古民家の雰囲気にぴったり。
この部屋は客室として使用予定。窓の外の山と田んぼ、朝の光はまさに「古民家のご褒美タイム」。
ただの「畳→フローリング」ではなく、
お仏壇との向き合い、人との出会い、家族と過ごした時間が詰まった一室になりました。

和室2 ― 新たにつくった畳スペース
もうひとつの和室では、逆に“畳”を新設。ちょっとした畳スペースをつくりました。
せっかくの古民家、やっぱり和の雰囲気は残したい。畳の上でお茶を飲む時間は、暮らしを豊かにしてくれます。

最高のロケーションで味わう四季
共有スペースになるこの部屋は、眺めが最高!窓の向こうを走るのはかわいい一両列車。
冬には一面が雪に覆われ、市街地では見られない幻想的な風景に。阿東ならではの贅沢です。


掘りごたつ構想 ― 設計変更のドタバタ劇
床の製作中、「そういえば掘りごたつ作りたかったな…」と思い出し急きょ設計変更。
勢いでやって少し水平を外しましたが、これも手づくりの味(笑)。火鉢で餅や熱燗も最高です。
※事前相談なしでやって、あとでしっかり怒られました。

畳の上でひと息 ― やっぱり日本の家はいい
掘りごたつ部分の畳は取り外し可能。未完成の箇所はあるけれど、畳の上で外を眺める時間は格別。
古民家にはやはり畳があいますね。


キッチン ― 家の中心に生まれた新しい「交流の場」
「料理する人と食べる人が自然につながる空間にしたい」――そう考え、キッチンを家の中央へ大移動。
配管は全交換だったので、むしろ水回りが近くなって一石二鳥。使いやすさとデザインの両立を目指しました。

キッチンの解体 ― ありがとう、そしておつかれさま
もともとは家の一番奥、増設エリアのダイニングキッチン。物が多くて片付けが大変でした。
システムキッチンの取り外しは簡単でしたが、壁のステンレス板を剥がすのは一苦労。それでも無事に解体完了。

対面キッチンづくり ― まずは基礎から
最終的に「壁付きの対面型」を採用。場所は元・和室。キッチン/洗面/お風呂が一直線に並ぶ効率的配置へ。
床を作り、背面壁を施工。設備業者さんに給排水をお願いし、設備が入るよう表面仕上げまで整えます。
実はここ、年末ギリギリまでの作業。「仕上げまでやらないと設備が入らない」という想定外で最後までバタバタ(笑)。



交流がうまれるキッチン
奥に隠れていたキッチンが、今では自然に人が集まる中心へ。料理を囲む笑い声を想像すると、大移動も報われます。

お風呂 ― 傷んだ空間の完全復活
前編ではユニットバスの設置まで。ここからが本番、お風呂とセットで洗面所の制作です。

もともとの洗面所は…
昔ながらで可もなく不可もなし。ただし狭い。洗濯機を置くと脱衣場として窮屈で、各部屋に扉がつながってプライバシーも微妙。
壁を壊し洗面台を撤去。お風呂スペースが広かったので、小さめユニットバスを入れて脱衣所を拡張しました。


解体からの再構築
床、壁、天井をすべて解体。そこから新たな基礎をつくり、配管を設置。下地や断熱材を施工していきました。



最後の仕上げで、ちょっと失敗…
梁の雰囲気を残すため仕上げは漆喰に。
工期を焦って乾燥が不十分。下地に杉の合板を使ったのが失敗でした。ヤニで仕上がりが汚れ、重ね塗りで対応…。次からは石膏ボード一択(笑)。

こだわり棚と黒い床
廃材の棚板で備え付け棚を追加(これが工期遅延の原因の一つ…)。
床は黒い大理石風クッションフロアで、白い漆喰と高コントラストに。洗面台と自作の扉で完成。
「お風呂を使う人が少しでも気持ちよく過ごせるように」――そんな思いで仕上げました。


トイレ ― 一番こだわった空間
この家で最も時間をかけたのが、実はトイレ。
壁の漆喰、照明の角度、床材の色まで、小さな空間だからこそ丁寧に。

そもそもトイレはどこ?
昔の家らしく縁側経由。ただしこの家は通路が狭くて低い。
しかも二つあるうち一つは雨漏りでほぼ崩壊。行くだけで一苦労。狭いし、低いし…

新しい動線を室内に
雨漏り部屋の一部を廊下化し、共有スペースから直接トイレへ。民宿運用を考えるなら必須。

恐怖のシロアリ再び
解体すると土台が完全にアウト。木が地面に接触=シロアリの餌場…。
土台を総撤去し、ブロック基礎を新設して安心の構造に。湿気・断熱対策もばっちりです。



はじめての建具つくり
元のガラスを分解して自作窓。扉も制作しました。木のぬくもりが感じられるいい仕上がりになりました。はじめてにしては上出来だと思います。



一番おしゃれな空間かも?
白い漆喰×黒い床で脱衣所と統一。アクセントに一面だけブルーグレーを採用。
金物はアイアンで統一し、扉はガラス+曇りシートで少しだけ高級感。
小さな空間ですが、“心が整うトイレ”を目指しました。

管理室 ― OSB仕上げのワークスペース
管理室は工数削減のため、下地がそのまま外観に使えるOSBを採用。
ちょっと無骨な部屋を目指しました。

解体からのリビルド
ここは増設部分で、ベタ基礎になっていましたが、断熱対策はしっかりと行いました。
服をかけるオープンラックも自作。空間を広く保てて通気性も抜群、雰囲気とも好相性。




他の部屋とは一味違う空間
元・広いダイニングキッチンの半分を区切り、管理人用のワークスペースへ(客室転用も可)。
OSBにより仕上げ材が不要で工期短縮。無骨好きにはたまらない雰囲気。
他の部屋とは違うテイスト。OSB合板のザラッとした質感で、ちょっとした工房のよう。

屋根 ― 家全体を守る最終工程
最後に取りかかったのは屋根。隅棟の補修、裏側の波板交換、瓦のズレ直し…。
暑い日も寒い日も、ひとりで屋根の上と格闘していました。

足場を組むところから
まずは足場。落ちたら洒落にならない。知り合いが単管を貸してくださり、本当に助かりました。
初めての足場作りも、これでずいぶん慣れました。

瓦の撤去と下地づくり
崩れかけた瓦をすべて撤去。ムカデと遭遇しながらの孤独作業…。夏じゃなくてよかった。
梁・柱の補強は大工さん、下地(野地板)とルーフィングは自分で施工。


トタンと瓦で仕上げ
裏面はコスト重視でトタン仕上げ(見た目も悪くなく結果オーライ)。
正面の隅棟は瓦で仕上げ。漆喰を練って針金を通し、多少の歪みはご愛嬌。初めてにしては上出来。

まとめ ― 一軒の家が教えてくれたこと
片付けに1年、改修に1年。計2年の古民家再生を、2回に分けてお届けしてきました。
当初は誰も見向きもしなかった、蔦に覆われた古民家。今ではしっかり息を吹き返しました。
「もっといい家があるだろう」と言っていた人も、今ではその言葉を撤回。(どうだ、見たか!笑)
手のかかる家でしたが、ものづくりの楽しさと古民家の奥深さを改めて教えてくれた物件です。
今はわたしの手を離れ、新しい持ち主のもとへ。
でも「古民家を未来に残す」というミッションは、確かに達成できたと思います。阿東には、まだ価値ある古民家がたくさんあります。
これからも一軒でも多くの家を未来につなげていけるよう、活動を続けていきます。
どうか、これからも温かく見守ってください。


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